影
君とぼくはひとつだよ
ぼくと君もひとつだよ
君とぼくは幸せで
ぼくと君は不幸せ
鏡と鏡を合わせ
冷めない夢が始まる
ぼくが泣けば君は笑い
手をつないで背を向ける
冷たい雨がぼくを打つ
さてこれからくたばろうかな
どうせなら狂った濁流に
全て飲み込まれてしまえばいいのに
呼吸をしてるだけの日常に
ある日突然君はやってきた
おどけた顔で動かした
時計の針は全てを巻き込んでく
稲妻に吸い込まれたぼくら
引き離されたこの空間に
響くのはふたつの鼓動
ああ ドクンドクン血が巡る
あらしの夜に出会ったぼくら
幸せに満ちた笑みを漏らす
朝日を浴びるころに訪れる絶望を
まだ知らない
弾を込めてぶち抜きに行きます
あなたのその素敵な頭に
愛を込めてぶち抜きに行きます
この心が苦しくなるほどの
美しいうた 歌いながら
カメラのシャッター切って
最後の姿おさめたら 絵本を開いて
羊を喰わずに去った狼の行方
冷たいあなたに読んで聞かせてあげましょう
カメラのシャッター切って
最後の姿おさめたら悲しい結末
まるであたしとあなたみたいな二匹の獣
動かぬ唇 指でなぞる
カメラのシャッター切って
最後の姿おさめたら 絵本を開いて
羊を喰わずに去った狼の行方
冷たいあなたに読んで聞かせてあげましょう
真っ白な息をこぼし
凍った指に吹きかける
生まれやしない温もりに
ついたため息はさらに白く
手袋突き出す君の腕
真っ赤な耳は雪のせい
言葉にすればいいものを
言葉にできない影ふたつ
しんしんと降り積もる無垢な冷たさよ
背中合わせの日々 交わらない視線
粉雪がきらめいたら瞳を合わせよう
せーのでさ
真っ白な息をこぼし
凍った指に吹きかける
徐々に広がる雪化粧
銀の世界は音もなく
指を絡ませた君の腕
真っ赤な耳は雪のせい
言葉にできない悲しみを
うたで紡いだ影ふたつ
しんしんと降り積もる無垢な冷たさよ
背中合わせの日々 交わらない視線
粉雪がきらめいたら瞳を合わせよう
せーのでさ
影、再び
影野わかばデモ音源集 歌詞
雪のせい
あらしの夜
羊と狼
道化の花束
落葉
この喉の奥底に潜んでる
時の止まったあの日の言葉が
今更になってその身を震わせ
外に出せとぼくを苦しめる
この身をすり減らして笑顔を作り
疲れ切っていた憂鬱な日曜日に
小さなその瞳を輝かせて
君が手渡した一輪のコスモス
あの日の君を探してた
腕いっぱいの花をかかえ
素顔のぼくは人ごみにのまれ
自分の声すら響かないのさ
空中ブランコ 唸る猛獣たち
あちらこちらに駆け回る歓声
小さな君でも見えるように
赤い絨毯の上 僕はおどけ続けよう
薄暗いテントの隅 うずくまって
ふさぎこんでいた憂鬱なぼくの日々
風に揺られながらも背筋を伸ばし
雲を切り裂いた一輪のコスモス
あの日の君は見つからない
腕いっぱいの花を散らして
素顔のぼくは人ごみにまぎれ
自分の影すら見つけ出せないのさ
高い天井 舞い散る紙吹雪
あちらこちらで跳ねまわる踊り子たち
小さな君でも見えるように
赤い絨毯の上 ぼくはおどけよう
空中ブランコ 唸る猛獣たち
あちらこちらに駆け回る歓声
小さな君でも見えるように
赤い絨毯の上
泣きながら 笑いながら おどけよう
楓の葉があたりに舞って
懐かしい通学路
手を繋いで君と帰る
もうどこにもない
ありふれた景色
頭の片隅 風が歌う
なけなしの愛はいらない
空に投げ込んで
笑顔でさよなら
季節外れの落葉
はしゃいだぼくに
どうしてと君は首をかしげた
もうどこにもない
大好きだった日々
頭の片隅 風が泣いた
なけなしの愛はいらない
空に投げ込んで
笑顔でさよなら
冷たい孤独は怖くないはず
優しく寄り沿って
夢からさよなら
季節外れの落葉
乾いた空はにじむ涙を奪っていく
枯れてく街路樹の命に
新しい芽生え 待っている
笑顔でさよなら
ロシアンブルーの瞳をした
猫が道を歩いてた
海の色とは違うけど
空みたいに甘くもなかった
ロシアンブルーの瞳をした
猫は宙を飛んでいた
闇夜を裂くヘッドライトに
照らされたずぶぬれの毛皮
腕の中で消えていった光
高速道路 ど真ん中に突っ立って
腕の中で残る無意味な熱
汚れた服 雨が染みこむ
ロシアンブルーの瞳をした
猫はぼくを見つめてた
何も求めぬその色に
ぼくは震えて縮こまる
涙は枯れやしないって
そんな嘘はつかないで
心まで干からびたら
それでおしまい さようなら
腕の中で消えていった光
高速道路 ど真ん中に突っ立って
腕の中で残る無意味な熱
汚れた服 雨が染みこむ
ロシアンブルーの瞳には
青ざめた僕の顔ひとつ
孤高の魂 解き放ち
雨に流されどこへ行く
傘を貸してくれないか
こいつを汚したくないのさ
誰か傘を貸してくれないか
ぼくは汚れなくないのさ
誰もかれもが急ぎ足
雨のせいにして目を伏せる
瞳に焼きつく鈍い青
早く夢から覚めたいな
腕の中で消えていった光
高速道路 ど真ん中に突っ立って
腕の中で残る無意味な熱
汚れた服 雨が染みこむ
ロシアンブルーの瞳をした
猫はどこへ行くのやら
雨の中でひとりぼっち
ぼくはどこへ行くのやら
ロシアンブルー
ジャズにしなよ
赤いピンヒールは
媚びることを知らない
真っ赤に引いた口紅は
不機嫌そうに端を吊り上げ
歌うはブルース
街外れの酒場で
近寄る男を蹴り上げる
真っ赤なドレスたなびかせ
不釣り合いのギターを掻き鳴らす
歌うはブルース
賢くみせたいのなら
ジャスにしなよ
孤高のまなざしに潜む儚さに
踊りだすリズム
瞳を揺らしてさ
赤いピンヒールは
媚びることを知らない
流行の歌を足蹴にして
今宵もギターを掻き鳴らす
歌うはブルース
今宵も歌うはブルース
賢くみせたいのなら
ジャズにしなよ
孤高のまなざしに潜む儚さに
踊りだすリズム
賢くみせたいのなら
ジャズにしなよ
孤高のまなざしに潜む儚さに
踊りだすリズム
腰を揺らしてさ
薄紅
薄紅色のひびだらけ唇
逃げ込んだうろの中 倒れこむ
こっちへきたところで同じこと
あっちの水の方が甘いだろうに
その目玉に映るビー玉に映る目玉の奥の影
しっぽを揺らして
泣いているんだか 笑っているんだか
滲む目元に紅を引いて
置き去りにしてきたあの日の足音
光に群がる小さな虫の音に
ついては消える命の灯
闇に呑まれたその行く先は
行ったり来たり 影になる
薄紅色に染めた両の頬
お祭り気分さ ちょうちん掲げ
こっちへきたところで同じこと
どちらの水も苦いのだから
その目玉に映るビー玉に映る目玉の奥の影
喜びと怒りの狭間に押しつぶされる心
歪む口元に紅を引いて
声も届かないほど遠くなる日々
光に群がる小さな虫の音に
ついては消える命の灯
闇に呑まれたその行く先は
行ったり来たり 影になる
赤い爪
赤い爪に毒なんてないよ
赤い爪に毒なんてないよ
もしも苦しくなるのなら
君はきっと病気なんだな
もしも悲しくなるのなら
君はきっと気が狂ってる
雨の降らない街の住人
彼らの心はみずみずしい
長い夜を生きる人たちの
瞳には太陽が宿るのさ
赤い色を恐れる君は
きっと気が狂ってる
赤い爪に罪なんてないよ
赤い爪に罪なんてないよ
もしも苦しくなるのなら
君はきっと病気なんだな
赤い色を恐れる君は
きっと気が狂ってる
命の色を恐れるなんて
君はきっと気が狂ってる
怪物のうた
その朝はやってきた
力が入らない手のひら
魔法はすぐに解けていく
怪物はただただ立ち尽くす
ヒトになれたつもりでいた
薄っぺらい衣はすぐに落ち
町へ行くことはもうできない
君に会うことも、もう
離さないと誓った手も
軽々とほどけていく
笑いあった明るい日々の
こだまが耳から離れない
涙で潰れた喉からは醜い遠吠えが
ヒトはどうしてあんなにむずかしいの
ヒトはどうしてあんなにやさしいの
離さないと誓った手も
軽々とほどけていく
笑いあった明るい日々の
こだまが耳から離れない
離さないと誓った手も
軽々とほどけていく
必死に伸ばした腕を
掴み返す温もりはない
離さないと誓った手も
軽々とほどけていく
笑いあった明るい日々の
こだまが耳から離れない
踊るあの子は雷の子
体を焼く怒り
赤い赤い大地
夜が来ないもんだから
あの子は雲を呼び寄せた
体を裂く刃
赤い赤い大地
太鼓を打ち鳴らす
あの子は雲に乗ってきた
お前の町まで遊びにいこうか
嬉々と稲光 輝け
戦いのさなか 皆見上げた
踊るあの子は雷の子
体を撃つ光
赤い赤い大地
真っ赤に染まった
夜を雨が押し流す
お前の町で走る稲妻
嬉々と雷鳴よ 轟け
戦いをやめて 皆逃げ惑う
歌うあの子は雷の子
喧嘩してないでアタシと遊んで
嬉々と雨粒よ 雪崩れ込め
戦いは終わり 皆見上げた
踊るあの子は雷の子
体を撃つ光
青い青い夜空
にんまりと笑った
あの子はまさに雷の子
夜を越えて
轟く遠吠え
欠けていく満月
喰らう 喰らう
それでも満ち足りない
ぽっかり空いた傷口に効く
果実があるのだと
風が届けた噂にすがりつく
夜を越えてやっといで
垣根の向こうに生る果実
赤々濡れる爪先
柵に阻まれ唾を呑んだ
世界が許さぬ境界線
垣根の手前で泣いた鬼
舞い散る無数の花びらに
あの子の影が踊ってる
轟く遠吠え
逃げ惑う足音
喰らう 喰らう
誰も通らせぬ
あの子が戻らぬなら
血に伏す赤を吸い込んだ
花びらが足元につのる
夜を越えてやっといで
垣根の向こうに生る果実
赤々燃える業の腕
柵に焦げ跡を残すだけ
世界が許さぬ境界線
垣根の手前で泣いた鬼
怪我した無数の花びらに
あの子の影が埋もれてく
角が 罪が 闇がなかったなら
たった一度の逢瀬は叶ったのかな
光の中じゃ息すらできない
体に流れる報いの「赤」
幾つもの夜に身を委ね
何も感じなくなった血肉の味
疲れ切った腕は力なく柵に引っ掛かり
その背中に忍び寄る夜明け
夜を越えてやっといで
垣根の向こうに生る果実
赤々燃える空の端
柵に寄りかかる身を焦がす
世界に差し込む境界線
垣根の手前でうずくまり
両目を伏せた鬼の耳に
あの子のうたが忍び込む
夜を越えてやっといで
朝日と共にやっといで
世界に差し込む境界線
霞に消える腕をかざし
すんでで伸びたその影は
ようやく果実にたどり着く
舞い散る無数の花びらに
あの子の影を捕まえた
朝焼け峠
霧雨の姿をして
降り注ぐ優しさを知る
淡い日々に迷い込む
林を越え谷を渡る
丘を登ったその先に君はいない
瞳の奥の鈍い痛み
堪えても抗えずに
振り返れば道はなく
眠たげなミミズクの目
背を押す厳しい夜風は
陰鬱なもやを散らし
開いた視界の眩しさに息を呑む
朝焼け峠 今日も泣いている
赤く滲む光 ぼくを刺す
飛び立つ鳥の背を見つめながら
足元から影が伸びていく
嘘に潜む真の声
求めても掴めやしない
振り返れば闇に浮かぶ
射抜くような狐の目
頬をなぞる冷たい雨は
邪な甘えを削ぎ
去りゆく雲の後に広がる景色
朝焼け峠 今日も泣いている
赤く滲む光 ぼくを刺す
飛び立つ鳥の背を見つめながら
足元から影が伸びていく
朝焼け峠 今日も泣いている
赤く滲む光 ぼくを刺す
渇いた喉は呼吸を忘れて
この世界の涙をそこに見た
うたになった日々
ベランダに吊るされた
錆びれてく旅路の跡
許しを請うわけじゃなく
ぼんやりと見つめるだけ
うたになったあの日々よ
ぼくは君を愛せるかな
つなぎとめた冷たい手
煙のように消えてった
録音された泣き言を
何度も再生して
彼方で揺らぐ微笑み
ぼくを置いていかないで
うたになった寂しさよ
ぼくはぼくを愛せるかな
笑おうとつまんだ頬
雨が降った夜の街
うたになったこの痛み
ぼくは君を愛していた
離れていく冷たい手
夢でまた会いに行くよ
うたになったあの日々よ
ぼくは君を愛していた
影から囁く声
夢でまた会いに行くよ
初夏
寂しい夕日がほら
差し込む窓辺
ひとりぼっちのあたしは
待ちくたびれそうだよ
この風がいつか
この声を届けて
夏の香りをひっさげて
あなたの旅路に想いをはせ
ひまわりの茎に負けぬよう
背伸びで心を奮い立てる
かがやかしい日々がほら
浮かんだ窓辺
ひとりぼっちのあたしは
涙が出そうだよ
この風がいつか
あの雲を払って
夏の香りを吸いこんで
あなたの旅路に想いをはせ
ホタルの灯に負けぬよう
笑顔であなたをむかえたいな
誘いこんだそよ風も
部屋の中で立ち往生
街明かりに浮かぶ夜
チャイムは黙りこんだまま
夏の香りをひっさげて
あなたの旅路に想いをはせ
ひまわりの茎に負けぬよう
背伸びで心を奮い立てる
夏の香りを吸いこんで
あなたの旅路に想いをはせ
ホタルの灯に負けぬよう
笑顔であなたをむかえたいな
笑顔であなたをむかえたいな
鱗
泣いてばかりの青い月
優しく冷たい光を注ぐ
背中に張り付いたままの
硬い棘だらけの孤独
一枚一枚
撫でるように微笑んで
噛み合わない夢と夢
潰えるたびに影は芽吹く
まやかしを奏でる六弦
鱗の下に隠れた柔らかい過去
月明かり 迷いの森で響く歌声
今宵も誰かを呼んでる
憎んでばかりの赤い月
煽るように力を注ぐ
指先に積み重なってく
剥がれては顔を出す矛盾
一枚一枚
確かめるように照らした
交わらない夢と夢
振り切っても続く螺旋
まやかしを奏でる六弦
鱗の下に潜ませた欲望
月明かり 憂いの街で響く歌声
今宵も誰かを呼んでる
ぼくは夢が覚めぬように目をつぶってた
ぼくは夢が覚めぬように耳を塞いだ
ぼくは夢心地のまま 影と戯れ
ぼくは夢心地のまま 君を通り過ぎてた
まやかしを奏でる六弦
鱗の下に隠れた柔らかい過去
月明かり 迷いの森で響く歌声
今宵も誰かを呼んで
まやかしを奏でる六弦
鱗の下に潜ませた欲望
月明かり 憂いの街で響く歌声
今宵も誰かを呼んでる